数学

二次方程式の虚数解を見る

いきなりだが、あなたは二次方程式における虚数解をグラフで見たことはあるだろうか?

mono
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そういえば、実数解は見たことあるけど虚数解はないな…

実は二次方程式の虚数解はグラフ上に存在してるのだが平面では見えない。そこでここでは見えない虚数解をどうやったら見えるようになるのか考えていく。

まず復習として二次方程式\( x^2+x-6=0 \)の解を求めよう。これは因数分解によって\( (x-2)(x+3)=0 \)となり\( x=-3,2 \) となる。これはもちろん実数解である。学校で習った言い方で言うと、「異なる二つの実数解」である。
では\( x^2-x+1=0 \)の解はどうか?これは実数の範囲では因数分解できず(複素数の範囲であれば因数分解可)解の公式\( x=\frac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a} \)より\( x=\frac{1 \pm \sqrt{(-1)^2-4 \times 1 \times 1}}{2}=\frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2} \)となりこれは「異なる二つの虚数解」と言っていた。また二つの解がともに等しいとき「重解」と言っていた。

二次方程式は以上の3つの形に帰着するがこれらは実際に解を求めなくてもわかることを読者なら理解しているだろう。それが判別式\( D=b^2-4ac\)であり、判別式の正負及び零によって3つのどれか分かる。

では上の3つを幾何、すなわちグラフとして示してみよう。「異なる二つの実数解」の場合、二次関数\( f(x) \)とx軸の交点が解のそれぞれの値となっている。「重解」の場合は、二次関数\( f(x) \)とx軸の接点が解の値となっている。これらは関数の解とグラフが双方に繋がっているといえるだろう。では「異なる二つの虚数解」の場合はどうか。その通り、”まったくわからん”となる。グラフは浮いていてx軸との交点など持たないし、解をグラフに記入することもできない。よってさっきと違って解とグラフが双方に繋がっていないといえる。これらは\( D \geq 0 \)のときにあったグラフと解の関係が\( D<0 \)のときにはなくなったということである。

まず、虚数解を図示したいということなので実数を複素数に拡張したときのように直線から平面にしないといけない。今回の二次関数の場合、yの値は常に実数、xの値は解は任意の複素数であるので複素数の範囲である、したがって従来のx-y平面のx座標に奥行きをを追加した平面グラフとしてみる。すなわち以下のようなグラフを考える。

これは手前から見ると虚軸はつぶれて見えないようになるのでいつものx-y平面となる。上からみるとy座標はつぶれて見えないようになるのでいつもの複素数平面となる。また、x-y平面のx軸は複素数平面の実軸に対応している。次にグラフを描くのだが、初めから連続な曲線を扱うのではなく初めは具体的な値を求めて離散的なグラフを書くとする。下の表は\( x^2-a=0 \)の定数\( a \)を変化させて点の位置を確認した表である。左のaの値における\( f(a)=0 \)である点を右に書いてある。

\( a=2 \) \( ( \sqrt{2} , 0) ,( -\sqrt{2} , 0)\)
\( a=1 \) \( ( 1 , 0) ,( -1 , 0)\)
\( a=0 \) \( ( 0 , 0) ,( 0 , 0)\)

ここで虚数解の時も実数解の時のようにグラフのどこかに点が存在していると考えると

\( a=-1 \) \( ( i , 0) ,( -i , 0)\)
\( a=-2 \) \( (\sqrt{2}i , 0) ,( -\sqrt{2}i , 0)\)

と表すことができる。一般にa>0のとき\(x^2-a=0\)の解は\( \sqrt{a} \)と\( -\sqrt{a} \)でありa<0のとき\(x^2-a=0\)の解は\( \sqrt{a}i \)と\( -\sqrt{a}i \)であるので、aが負であるときのグラフはaが正の時のグラフを逆(上に凸なら下に凸、逆も然り)し、実軸上から虚軸上に写したものと同じである。つまりこのようになる。

これは\( x^2+1=0 \)であり、前から見れば今まで見たことのある軸と離れているグラフである。一方横から見たグラフは前から見たグラフの符号が変わったグラフである。これからわかるように実数解ではなく虚数解のときもしっかりグラフと軸が交わっていることがわかる。すなわち実数解であろうが虚数解であろうが常に二次方程式のグラフは軸との交点を持つことが分かった。

虚軸を考える為に、立体にしたことよって今まで見れなかった虚数解が見えるようになったのだ。

以下は実数解、重解、虚数解への遷移を表した図である

上で見せたグラフたちは分かりやすいように実軸と虚軸上にある曲線しか描いていないが実際のグラフは曲面であり以下のような形をしている。

実軸上のグラフは二次方程式の\( a,b,c \)の値によって位置と形を変える。実軸上のグラフと虚軸上のグラフは常に垂直に交わっていて実軸上のグラフに従順して位置を変える。しかし実軸上のグラフは実軸から離れないので虚軸上のグラフは縦方向の動きはあっても横方向の動きはない。よって虚軸上のグラフは常に偶関数でありこれは\( a,b,c \)の値に関係なくいつでも成り立つ。これが何を意味するかというと、偶関数ということは異なる二つの虚数解は常に正負の差異だけだということである。すなわちこれは異なる二つの虚数解は互いに共役複素数であるということを示しているのだ。虚数解の性質が幾何でも知り得たのだ。

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“常に”が多い

次にグラフを上から見てみる。つまり、複素数平面に着目してみる。\( x^2-1=0 \)のグラフを上から見てみるとこうなっている。

\( x^2-1=0 \)は\( x^2=1 \)なのでこれは1の2乗根を複素数平面上に図示したものとなる。二つの点は複素数平面上の点なので1と-1を表している。同様に次は\( x^2+1=0 \)のグラフを上から見てみるとこうなり、もちろんこれは\( x^2=-1 \)のことであるので、-1の二乗根つまり\( i \)のことになる。\( i \)と\( -i \)を表している。

数3を習った人は複素数平面でこのような1のn乗根について学んだが、それはn次方程式\( x^n-1=0 \)を複素数平面に広げた空間における真上からみた図と等しいということが上で分かった。考えれば当たり前だが、二次方程式\( x^2-1=0 \)は1の2乗根、三次方程式\( x^3-1=0 \)は1の3乗根、n次方程式\( x^n-1=0 \)は1のn乗根、となっている。
二次方程式\( x^2-1=0 \)のとき、つまり1の2乗根は今までのx-yグラフでもしっかりx軸との交点を2つ持つので1の2乗根がしっかり2つ存在することが目で見てわかった。しかし三次方程式\( x^3-1=0 \)はx-yグラフだと、x軸との交点は1つしかなく、3つ解があることは目で見てわからなかった。これは当たり前で、1の3乗根の1以外の解は虚数解であり実数解しか表せないのでx-yグラフでは見えない。しかし、先ほどの通り空間で見る(複素数平面を取り入れる)としっかり存在おり、真上から見ると複素数平面上の1の3乗根の位置と合致する。