複素数

リーマンのゼータ関数

  • この記事は初学者が書いたものであり、実際と異なる見解、理解があるかもしれません(無いようには心がけています)
  • 定理等の証明、導出は載せていません。
  • 数の種類がたくさん出てきます。意味に関してはこの記事をご覧ください。

リーマンのゼータ関数(以下、ゼータ関数)はミレニアム懸賞問題の未解決問題であるリーマン予想に関係している。また素数にも関連しており、かなり重要視されている謎多き関数である。

ゼータ関数

このゼータ関数の定義はこうである。

リーマンのゼータ関数とは\[ \zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^s} \]で表される関数である。

mono
mono
もうわかんない…

自然数値の代入

関数ということなので具体的な値を入れてみないとどのような関数であるのかが分からない。そこで例として\( s=1 \)を入れてみよう。
\[ \zeta(1)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^1} \]
したがって\( \frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+…\)となる、これは有名な自然数の逆数和(調和級数)であるのでもちろん無限大に発散する。ゆえに\( \zeta(1)=\infty \)となる。(正確にはリーマン球面における無限遠点にいきつくのだがそれは別で話す)
ちなみにこの自然数の逆数和が発散するのは今日では当たり前であるがこれが初めて解決したのはそう昔のことではなく、ニュートンやライプニッツ、ベルヌーイ一家が活躍していた17世紀にヤコブ・ベルヌーイによって証明された。

di
di
ユークリッドとかが紀元前に証明していたかと思ってた…

ちなみに調和級数から\( \log n \)を引いた値の極限をオイラーの定数\( \gamma \)という。この値は収束するが有理数なのか無理数なのかわかっていない。

先ほどは\( s=1 \)を入れたが、同じく17世紀にピエトロ・メンゴリが「ゼータ関数の\(s=2\)のとき値はいくつであるか?」という問題を出した。\(s=2\)ということは平方数の逆数の和ということになる。\( s=1 \)のときの値を計算したヤコブ・ベルヌーイは解こうと努力したが空しくもこの問題は解けずこの問題を後の世代に託した。この問題は100年近く解決されずようやく1735年にオイラーが解決したが値が驚くような結果だった。

mono
mono
この問題を託したヤコブ・ベルヌーイはスイスのバーゼルに住んでいたのでバーゼル問題と言われているよ

その値とは\( \frac{\pi^2}{6} \)で、具体的な値は1.64493…であった。平方数の逆数の和が何の関係もない円周率\(\pi\)と結びあっていたのだ。円周率が含まれているのでこの値は超越数であることがわかる。証明は面白く\( \frac{\sin x}{x}\)を因数分解するというものであった。証明は割愛するが興味深い内容となっているので是非見てもらいたい。

バーゼル問題を解決したオイラーはその後、1735年にゼータ関数のsが正の偶数であるときの値が以下の公式と一致することを証明した。それは\[ \zeta(2n) = \frac{(-1)^{n-1}2^{2n-1}B_{2n}}{(2n)!}\pi^{2n} \]である。ここでの\(B_n\)はn番目のベルヌーイ数であり、ベルヌーイ数の各値は下の「参考」に載せておく。\( s=2 \)のとき、すなわち\( n=1 \)のときの値を確認してみると、\( \zeta(2 \times 1) = \frac{(-1)^{1-1}2^{2 \times 1-1}B_{2 \times 1}}{(2 \times 1)!}\pi^{2 \times 1} \)となり、\(B_2=\frac{1}{6}\)なので\(\zeta(2)=\frac{\pi^2}{6} \)となるので当たり前であるが一致する。同様に\( s=4,6,8,… \)は上の公式に\( n=2,3,4,… \)を代入していけば値がわかる。ちなみに\(\zeta(4)\)は\(\frac{\pi^4}{90}=1.08232…\)、\(\zeta(6)\)は\(\frac{\pi^6}{945}=1.01734…\)、\(\zeta(8)\)は\(\frac{\pi^8}{9450}=1.00407…\)である。\( s=2 \)の時同様、\( \pi \)が含まれているのでゼータ関数のsが正の偶数の時の値は全て超越数であるということが分かった。

ベルヌーイ数の値
\(n=0 \to 1 \)
\(n=1 \to -\frac{1}{2} \)
\(n=2 \to \frac{1}{6} \)
\(n=3 \to 0 \)
\(n=4 \to -\frac{1}{30} \)
\(n=5 \to 0 \)

しかし、正の奇数のときには正の偶数の時のような一意に表せる公式は発見されなかったが、正の奇数のときでも具体的な値は時代が進むにつれ分かるようになっていった。\( \zeta(3) \)はオイラーが1772年に\[ \zeta(3)=\frac{\pi^2}{7} \left( 1-4\sum_{k=1}^{\infty} \frac{\zeta(2k)}{(2k+1)(2k+2)2^{2k}} \right) \]\[ \zeta(3)=\frac{2\pi^2}{7}\log 2+\frac{16}{7} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x \log(\sin x)dx \]を導き値を計算した。また、\( \frac{2\pi^2}{7}\log 2 \)より、オイラーは有理数ではなく無理数であると予想していたらしいが\( \zeta(3) \)が有理数か無理数か、また超越数であるのかは最期まで分からなかった。ちなみに\( \zeta(3)=1.20205… \)である

mono
mono
あのオイラーも解けないとは…

そこから長い年月が経ち、時は20世紀後半。1977年にロジャ・アペリーが\( \zeta(3) \)が無理数であることを証明した。つい最近のことである。アペリーは\( \zeta(3) \)が無理数であるということをアペリーの定理と名付け。これらのことから\( \zeta(3) \)はアペリーの定数ともいう。

sが3以上の正の奇数であるゼータ関数の値は大体求まっており、値を表す式も複雑であるが一つ一つ存在している。だが、各値の閉じた形の式や有理数か無理数か、超越数かなどは未だに不明である。しかしアペリーの証明の途中に\( \zeta(3) \)と”とある定数”を係数に持つ無限級数との等式がある。これはsが5以上の正の奇数であるゼータ関数もこの”とある定数”を見つけ出せば無理数であるということが証明できるということだ。だが現在この定数を見つけている最中であるがなかなか見つからず別の方法で証明するしかなさそうである。

確実に求まるというわけではないが、別の方法として差を縮めるというものがある。アペリーが証明した約20年後の2000年にリボアルが「\( \zeta(s) \)が無理数となるsが正の奇数は無限に存在する」ことを証明した。翌年にはまたリボアルが「\( \zeta(5),\zeta(7),…,\) \(\zeta(21) \)の少なくとも1つは無理数である」と証明。同年にズディリンが「\( \zeta(5),\zeta(7),…,\) \(\zeta(19) \)の少なくとも1つは無理数である」と証明。更に「\( \zeta(5),\zeta(7),\zeta(9),\) \(\zeta(11) \)の少なくとも1つは無理数である」もズディリンが同年2001年に証明した。始めは無数であったが既に4つまで縮まっている。双子素数の無限に存在するかどうか、のように徐々に個数は減っていってるということである。\( \zeta(5) \)が無理数であるということが証明されるのはそう遠くないのかもしれない。

以下の図は正の実数から実数への対応を示したゼータ関数である。\( x=1 \)のとき無限大に発散してるように見え、\( x=2 \)のときには1.6あたり、\( x=3 \)のときは1.2あたり、xは大きくなるにつれて1に近づいていってるのがわかる。分数関数ではないので注意!

ゼータ関数